【風俗営業4号許可】雀荘(麻雀店)の許可要件

【風俗営業4号許可】雀荘(麻雀店)の許可要件をチェック

行政書士が解説

1.風俗営業4号許可とは

風俗営業4号許可の定義

第二条(用語の意義)
この法律において「風俗営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 キヤバレー、待合、料理店、カフエーその他設備を設けて客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業
二 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、国家公安委員会規則で定めるところにより計つた営業所内の照度を十ルクス以下として営むもの(前号に該当する営業として営むものを除く。)
三 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、他から見通すことが困難であり、かつ、その広さが五平方メートル以下である客席を設けて営むもの
四 まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業
五 スロットマシン、テレビゲーム機その他の遊技設備で本来の用途以外の用途として射幸心をそそるおそれのある遊技に用いることができるもの(国家公安委員会規則で定めるものに限る。)を備える店舗その他これに類する区画された施設(旅館業その他の営業の用に供し、又はこれに随伴する施設で政令で定めるものを除く。)において当該遊技設備により客に遊技をさせる営業(前号に該当する営業を除く。)

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-GOV法令検索より引用)

麻雀店(通称:雀荘)は、その名の通り、麻雀を楽しむための娯楽施設です。
施設内には、麻雀卓や牌、テーブルなどが完備されており、利用者は「場代」を支払うことで対局スペースを利用できます。

②雀荘の開業には許可が必要です。
ポイント:飲食店営業許可と風俗営業4号の許可が必要

雀荘は飲食店に該当します。
麻雀店(雀荘)やパチンコ店など、客の射幸心をあおる可能性のある遊戯を提供する営業を行う場合には、「飲食店営業許可」と「風俗営業法第4号営業(以下、風営法4号)」の許可を取得する必要があります。

風営法第4号営業は「遊戯」を目的とした営業形態である点が特徴で、下記の3つの条件を満たす必要があり、これを確認した上で必要書類を準備し、警察署に申請します。

3つの許可要件
  • 人的要件
  • 場所的要件
  • 構造・設備的要件


その後の構造検査に問題がなければ、福岡県では申請から55日以内に許可が下ります。また、申請後には「消防手続き」が必要です。


その後の構造検査に問題がなければ、福岡県では申請から55日以内に許可が下ります。

3つの許可要件については事項から詳しくみていきましょう。

2.【本題】雀荘(麻雀店)の許可要件(福岡県)

雀荘(麻雀店)営業を行う際には、「人的要件」「場所的要件」「構造的要件」を満たす必要があります。

今回のケースでは福岡県の場合を想定し、解説いたします。

①人的要件
ポイント:営業者や管理者が欠格要件に該当してはいけない

雀荘の営業者及び管理者に対しては、風俗営業同様の人的要件(欠格事由)が定められており、下記の内容に該当する場合には許可を受けることができません。

また、法人の場合だと、役員全員が一人でも欠格要件に該当してはいけません

欠格要件
  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
  3. 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
  4. アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
  5. 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
  6. 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
  7. 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
  8. 法人の役員、法定代理人が上記1から6までのいずれかに該当する者があるとき

警視庁HPより引用

②場所的要件

雀荘の営業には、風営法により営業が制限されている地域が存在します。以下の地域でのみ営業が可能になります。

営業可能エリア
  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

住居集合地域では営業を行うことができません
具体的には「第一種低層住居専用地域」・「第二種低層住居専用地域」・「第一種中高層住居専用地域」・「第二種中高層住居専用地域」・「第一種住居地域」・「第二種住居地域」・「準住居地域」が営業禁止エリアとなります。

ポイント:保護対象施設から一定の距離が必要

雀荘の営業許可を受けるには、営業所が特定の「保護対象施設」から一定の距離を置く必要があります。

保護対象施設
  • 学校(大学除く)
    • 幼稚園、小学校、中学校、 高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校など
  • 児童福祉施設
    • 助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設など
  • 病院
  • 図書館
  • 診療所 

など

保護対象施設からの距離制限
保護対象施設商業地域商業地域以外
学校(大学を除く)70m以上100m以上
児童福祉施設50m以上70m以上
病院50m以上70m以上
図書館50m以上70m以上
診療所30m以上50m以上

保護対象施設には、上記のような施設が含まれます。

各施設からの最低距離は、商業地域では30~70メートル以上、商業地域以外では50~100メートル以上と定められています。この距離は、施設の敷地から測定され、違反すると営業許可が下りません。

福岡県では保護対象施設が周辺にあるかどうかを事前に確認できる事前相談制度があります。詳細は過去の記事でまとめていますので、下記からぜひご覧ください。

詳細はこちらをクリック
③構造的要件

(構造及び設備の技術上の基準)
第七条法第四条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める技術上の基準は、次の表の上欄に掲げる風俗営業の種別の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるとおりとする。

法第二条第一項第四号に掲げる営業
一 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
二 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
三 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
四 第三十条に定めるところにより計つた営業所内の照度が十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
五 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
六 ぱちんこ屋及び令第八条に規定する営業にあつては、当該営業の用に供する遊技機以外の遊技設備を設けないこと。
七 ぱちんこ屋及び令第十五条に規定する営業にあつては、営業所内の客の見やすい場所に賞品を提供する設備を設けること。

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則(e-GOV法令検索より引用)

営業を行う際には、客席の配置や構造に注意が必要です。

例えば、仕切りや衝立で他の席から見通せないような造りの場合、風俗営業の基準を満たしていないため、警察は届出を受理することができません。

また、図面上で風営法に違反がないように見せて届出をしたとしても、後日その違反が発覚した場合には指導の対象となるので、十分な注意が必要です。

上記の条文をわかりやすくまとめたのが下記の内容です。

雀荘(麻雀店の)構造及び設備の基準
  1. 客室内部の見通し
    • 高さ1m以上の仕切りや背の高い椅子など、客室内の見通しを妨げる構造や設備を設置することは禁止されています。
  2. 射幸心をあおる宣伝や設備
    • 「善良な風俗や清潔な環境を損なうおそれのある写真、広告物、装飾、その他の設備を設けないこと」と定められています。これには、射幸心を煽るような広告や表示物の掲示、現金の払い出しが可能なゲーム機などの設置が含まれます。
  3. 客室の出入口に施錠設備を設置しない
    • 店外への出入口は例外とされますが、施錠可能な扉を二重に設置することは禁止されています。
  4. 店舗内の明るさを10ルクス以上に保つ
    • 店内の明るさが10ルクスを下回らないよう、適切な構造と設備を整える必要があります。
  5. 騒音や振動の基準を満たすこと
    • 騒音や振動の数値については各都道府県の条例で規定されています。この基準を遵守するため、適切な構造や設備を備えなければなりません。

ポイント:申請の際には図面の提出と警察署の確認検査が必要

構造的要件を満たしているかどうか証明するために、下記のような図面を提出する必要があります。

また申請している図面と整合性があるかどうか、構造的要件を満たしているかどうかの警察署による施設の確認検査も行われます。

申請書類について詳細を知りたい方は下記の記事から確認できますので、ぜひご覧ください。

④その他の注意点
ポイント:雀荘の利用料金は法律で決まっています

風営法では雀荘の利用料金(場代)の上限を規制しています。

雀荘の運営者は、上記の料金規制を遵守することが求められます。

ポイント:営業時間や18歳未満の入店に注意

法律上、麻雀荘は「風俗営業」に分類されており、18歳未満および高校生(18歳以上を含む)の入店は禁止されています。

また、24時以降の営業も法律で禁止されているため、深夜営業は認められていません。

以上、雀荘開業の許可要件をまとめさせていただきました。
必要書類については下記の記事でまとめておりますので、ぜひご覧ください。

詳細はこちらをクリック

3.まとめ

以上、雀荘(風俗営業4号許可)の許可要件について解説しました。

ポイント:申請は慣れていないと時間がかかる申請です

風俗営業許可や深夜営業許可は正確な申請書類の記述はもちろんのこと、図面の作成が必要です。作成には時間がかかるのもちろんのこと、補正があれば何度も管轄警察署に足を運ばないといけません。

ただでさえ許可が下りるまで55日間かかる風営法許可、オープンを急いでいるのであれば正確な申請が必要です。

ポイント:開業の準備をしながら申請ができるでしょうか?

その間、
・お店の内装工事のお打ち合わせ
・ホームページやSNSでの集客の対応
・キャストの募集

など並行して行わなければなりません。そんなお時間が作れますか?

ポイント:風営法は厳しい法律です。

さらに風営法は厳しい法律です。無許可で営業を行なったり、不正手段で許可を取得した場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方が課されます。
一度違反行為をしてしまうと風営法の欠格事由に該当し5年間新規申請ができなくなってしまいます。

そんなお悩みを持つあなたの代わりに当事務所が全て申請を代行いたします。

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