【どんな許可が必要?】スポーツバーを開業したい

【どんな許可が必要?】スポーツバーを開業したい

行政書士が解説

1.スポーツバーの開業に許可や届出は必要なのか?

①スポーツバーとは

スポーツバー、またはスポーツカフェは、サッカーや野球などのスポーツを大画面テレビで観戦しながら、飲食を楽しめる環境を提供する飲食店です。

多くのスポーツバーは、カウンターやハイテーブルを配置し、チャージなしでギネスなどの海外ビールを提供する英国式パブスタイルのサービスを採用しています。

スポーツバーでは、客が熱心に応援することも多く、特に重要な試合やイベントの際には、ファンが集まり、店内全体が一体になって応援する様子が見られます。

そのようなスポーツバーを開業するためにはどういった許可が必要なのでしょうか?

②スポーツバーの法的な立ち位置
ポイント:飲食店営業許可と深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要

深夜0時以降に酒類をメインで提供する飲食店は、管轄の警察署に「深夜酒類提供飲食店営業(深酒営業許可)」の届出が必要です。

ただし、ラーメン屋やファミレスなど主食をメインとする飲食店は届出不要です。居酒屋は酒類提供が目的のため、食事メニューが多くても届出が必要と判断されることが多いです。

また、当然ながら飲食物を提供するため、飲食店営業許可も必要です。

ポイント:場合によっては特定遊興飲食店営業許可も必要

客に「遊興させる」場合には、特定遊興飲食店営業許可が必要となります。

例えば、試合観戦中にお客さん同士を積極的に応援に誘導したり、店側が場を盛り上げるために働きかけたりする行為「遊興させる」に該当する可能性があります。

2.スポーツバーに必要な許可や届出

①飲食店営業許可
ポイント:飲食店であれば必須

飲食店営業許可は、通常の飲食店を開業するために必要なもので、保健所から許可証を取得すれば、店舗で調理した料理の提供や、午前0時までの酒類の提供が可能となります。

複数の店舗を別の場所で開業する場合は、それぞれの店舗で個別に申請が必要です。

ポイント:飲食店を開業する流れとは
飲食店を開業する流れ
  1. 飲食店の許可要件の確認と事前相談
  2. 申請書類を提出する
  3. 保健所による立入検査
  4. 許可証を受け取る
  5. 消防署に防火管理者を届け出る
  6. 営業開始

飲食店を開業する流れは上記の通りです。
もう少し詳細を知りたい場合には、下記の記事で解説していますので、ご覧ください。

詳細はこちらから
②深夜酒類提供飲食店営業開始届
深夜営業でお酒を提供するのであれば必須
ポイント:深夜酒類提供飲食店営業届=深夜営業許可

深夜営業許可とは正式な名称ではありません。
「深夜酒類提供飲食店届」というには長すぎるので、「深酒」や「深夜営業許可」ということがあります。

午前0時から午前6時までの間に酒類を提供している飲食店は、管轄の警察署への届出が必要になります。

ポイント:深夜酒類提供飲食店の届出が必要になるのは

具体的には、下記の二つの点どちらにも該当する場合には、深夜酒類提供飲食店営業開始届を管轄の警察署に提出する必要があります。

  • 深夜0時以降にお酒を提供する場合
  • お酒の提供がメインの営業形態となる場合

これらの届出を提出しないまま営業すると、50万円以下の罰金が科される可能性があります。

深夜営業の届出は、店舗の営業形態によって異なることもあり、単に深夜に営業しているだけでなく、酒類を提供している飲食店が対象となります。

ポイント:主食が“料理(食事)であるか”“酒類であるか”で判定

該当する例

  • BAR
  • スナック
  • 居酒屋
  • 小料理屋
  • 焼き鳥屋
  • おでん屋

など

該当しない例

  • 中華料理店
  • 寿司店
  • 牛丼屋
  • レストラン
  • ラーメン屋
  • おでん屋

など

「深夜酒類提供飲食店」に該当するかどうかを自分で判断するのは避け、必ず所轄の警察署もしくは専門の行政書士に確認を依頼するようにしましょう。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出について詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

詳細はこちらから
③消防手続き

飲食店を開業する際には消防の手続きも必要です。

例えば、店舗全体の収容人数が30人を超える場合、「防火管理者」の設置が必要です。この収容人数は従業員の人数も含まれます。

具体的には、以下の書類を管轄の消防署に提出します。

  1. 「防火対象物工事等計画届出書」
  2. 「防火対象設備使用開始届」
  3. 「火を使用する設備等の設置届」
  4. 「防火管理者選任届」

届出のタイミングは、申請する書類によっても違いますが、店舗の使用開始の7日前までに、消防署長への届出が必要とされているものもあるので注意が必要です。

特定遊興飲食店営業許可
ポイント:客に自発的に楽しんでもらうのか?遊興させるのか?

スポーツバーの場合、争点となるのは、客に遊興させるかどうかです。

下記全て満たす場合は特定遊興飲食店営業許可が必要

① 深夜に営業するかどうか
② 酒類を提供するかどうか
③ 客に遊興をさせるかどうか

上記3点全て該当する場合には、特定遊興飲食店の営業許可が必要となります。

営業者側が積極的に客を遊ばせたり楽しませる行為は「遊興」に該当する可能性が高く、逆に客が自主的に楽しむ場合は遊興には該当しません。

遊興という言葉は「遊び興じさせること」を指していますが、具体例としては次のものが掲げられています。

ポイント:客に遊興させるとは?
遊興させる行為の例
  • 不特定の客にショーやダンス、演芸を見せる
  • 不特定の客に歌手が歌ったり、バンドが生演奏をする
  • ダンスができる設備を設けて、不特定の客にダンスをさせる
  • カラオケ装置を設けて不特定のカラオケを勧め、合いの手を入れたり褒めはやす
  • スポーツなどの映像を、不特定の客にみせて応援させる
  • その他、店舗が働きかけて、不特定の客に遊び興じさせる
遊興させる行為に該当しない例
  • 単にカラオケの機器を設置しているだけの場合
  • テレビやビデオの映像を流している場合
  • たまたま営業日にスポーツなどの試合があるような場合で、単発的に遊興させるような行為
  • 結婚式の二次会などを飲食店で開催する行為
ポイント:単発的に行われるものや客が自主的に楽しむ場合は該当しない

継続的に営業を行うことが条件となっており、単発的に行われるものは該当しないのです。

また、客が自主的に楽しむ場合や、テレビ映像や録音音楽を流すだけの行為は、遊興には該当しません。

つまり、スポーツバーの場合には、お店をどのようなコンセプトにするかによって、特定遊興飲食店営業許可が必要かどうか変わります。
そのため、自分がどのようなスポーツバーにするのかを事前に考えるようにしましょう。

特定遊興飲食店営業許可については下記の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。

詳細はこちらから

3.スポーツバー開業の注意点

注意1:スロットマシンやピンボール遊技機を置く場合は注意
ポイント:風営法5号許可が必要になる

射幸心を煽る恐れがある遊技設備を設置し、それを利用してお客さんに遊技をさせる営業には特定の許可が必要です。

例えば、下記のようなものです。

  • スロットマシン、パチンコ遊技機、パチスロ遊技機
  • テレビゲーム機(射幸心をそそるおそれがある遊技の用に供されないことが明らかであるものを除く。)
  • ピンボールゲーム機
ポイント:床面積割合が10%未満なら許可不要

例外として、店舗の客席部分の床面積に対し、遊技設備が占める床面積の割合が10%を超えない場合は、この許可を取得する必要はありません。

たとえば、旅館の一角やデパートの屋上にあるゲームコーナーは、ほとんどがこの10%ルールを活用していると考えられます。

ポイント:ダーツやシミュレーションゴルフ機を設置する場合は?

現在の法律では、デジタルダーツ機やシミュレーションゴルフ機を設置する際は風俗営業5号の許可 は不要です。ただし、設置する際には、以下の2点を遵守する必要があります。

  1. 従業員が目視または防犯カメラで全てのデジタルダーツの遊戯状況を監視できること。
  2. 風俗営業法で規定する他の遊技設備(スロットマシンやピンボール等)が設置されていない、または10%ルールの範囲内で設置されていること。

4.まとめ

以上、スポーツバーの開業について解説しました。

ポイント:申請は慣れていないと時間がかかる申請です

風俗営業許可や深夜営業許可は正確な申請書類の記述はもちろんのこと、図面の作成が必要です。作成には時間がかかるのもちろんのこと、補正があれば何度も管轄警察署に足を運ばないといけません。

ただでさえ許可が下りるまで55日間かかる風営法許可、オープンを急いでいるのであれば正確な申請が必要です。

ポイント:開業の準備をしながら申請ができるでしょうか?

その間、
・お店の内装工事のお打ち合わせ
・ホームページやSNSでの集客の対応
・キャストの募集

など並行して行わなければなりません。そんなお時間が作れますか?

ポイント:風営法は厳しい法律です。

さらに風営法は厳しい法律です。無許可で営業を行なったり、不正手段で許可を取得した場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方が課されます。
一度違反行為をしてしまうと風営法の欠格事由に該当し5年間新規申請ができなくなってしまいます。

そんなお悩みを持つあなたの代わりに当事務所が全て申請を代行いたします。

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