接待飲食店(キャバクラ・スナック)事業で法人成りする流れと注意点

接待飲食店(キャバクラ・スナック)事業で法人成りする流れと注意点

行政書士が解説

1.法人成りとは?

①法人成りの概要

法人成りとは、個人事業主が会社を設立し、これまで営んでいた事業を法人名義に移行することを指します。法人化とも呼ばれます。

法人は個人事業主に比べて社会的信用が高く、また決算月を自由に設定できたり、節税対策にもなるなど、さまざまなメリットがあります。

一般的に法人成りするタイミングとしては下記のような場合が想定されます。

法人成りを検討する3つのタイミングの例
  1. 節税効果を得たいとき
    • 所得が800万円を超えると個人事業主の税率が法人税を上回るため、節税効果が期待できます。
  2. 事業拡大を目指すとき
    • 法人化により社会的信用が向上し、資金調達や取引先の拡大がスムーズになります。
    • 事業の規模を広げたり、新しい分野へ進出する際には、法人化する方が何かとメリットがあります。
  3. 従業員を増やすとき
    • 法人化することで、組織としての雇用体制が整い、人材採用がしやすくなります。
    • 社会保険料や福利厚生費の負担が増えるため、収支バランスの検討が必要です。

そもそも、接待飲食店(キャバクラ、スナック等)の開業を個人事業で法人事業でやるか迷われている方は過去の記事でそれぞれメリットなどまとめておりますので、下記からご覧ください。

②法人成りする場合の注意点
ポイント:個人事業で取得した許可の引き継ぎができない

後ほど法人成りする際の流れを記載しますが、法人成りする際には注意点があります。

それは、個人事業主で営業許可を取得した後に法人化すると、営業許可の再取得が必要となり、営業ができないリスクがあります。

個人で取得した風営法の営業許可や深夜酒類提供飲食営業許可は、名義変更ができず、法人化する場合は許可を再申請する必要があります。

「再申請すれば済む」と思うかもしれませんが、現在営業中であっても再度許可が必ず取得できる保証はありません。
さらに、再申請の手続き中は営業が一時的に停止せざるを得ないため、事業に影響が出る可能性がある点にも注意が必要です。

事業拡大を視野に入れている場合は、初期段階で法人化を検討するのが賢明です。

ポイント:再許可の取得には時間と費用がかかる

風営法関連の許可や飲食店営業許可を新たに申請する場合、最初の申請時と同様に審査や実地検査が必要なため、一定の期間とコストがかかります。

さらに、会社設立の準備期間も考慮すると、法人成りから許可の再取得までに相当な手間と時間が必要となるでしょう。少なくとも風営法の許可が下りるまでには55日間標準処理期間がかかります。

ただし、法人としての風営法の許可が下りるまでの間も、店舗の営業は継続可能とされている地域もあるので、その点は事前に警察署へ確認しておくのが良いでしょう。

また、申請内容や図面が個人経営時と異なる場合は適宜修正を行い、現在の状況が法規制に完全に準拠しているかを細部まで確認することが重要です。

2.法人成りする際の流れ

①保健所で飲食店営業許可証を法人名義に切り替える
ポイント:名義変更というよりかは法人として新規申請する

警察署への申請や届出には、法人名義の飲食店営業許可証が必要です。
許可証が個人名義のままでは、警察署で法人申請を受理してもらえません。そのため、まず保健所での手続きを優先して行う必要があります。

名義変更というよりかは、法人として飲食店営業許可を新規申請し、個人名義の飲食店営業を廃業するイメージです。

本来であれば、個人名義の飲食店営業を廃業し、法人としての飲食店営業許可を取得するという流れですが、廃業してしまうと飲食店の営業を続けられないことになってしまうので、個人名義の廃業届が未提出でも新規申請を受け付けてもらえるケースがあります。

ただし、これは保健所ごとに対応が異なるため、事前に所轄の保健所へ確認をしておくことをお勧めします。

ポイント:個人事業で許可取得した当時と基準が変わっていないか確認

手続きは通常の飲食店営業許可申請と同じです。
申請後、所轄の担当者が設備の検査に訪れ、基準を満たしていれば許可が下ります。
食品衛生法の改正により、当時個人事業として申請し、許可を受けた際の基準と異なっている可能性がございますので、注意しましょう。

検査に合格して設備要件がクリアできたら許可が下ります。
ただし、飲食店営業許可証の発行には約1週間かかることがあります。
許可証を受け取る際は、個人名義の飲食店営業許可証と廃業届を一緒に持参する必要があります。

飲食店営業許可について詳細を知りたい方は過去の記事で解説していますので、下記からご覧ください。

詳細はこちらをクリック
②管轄警察署に法人として風営法許可新規申請する

保健所での手続きが終了したら、次に警察署で風俗営業許可の法人化手続きを行います。

なお、飲食店営業許可取得と同様に、警察署によっては、個人経営時の廃業届や返納理由書を事前に提出していなくても、新規申請を受理してくれる場合があります。

なぜなら先に廃業届を出してしまうと、新規の許可が下りるまで、お店の営業ができなくなってしまうだけでなく、万が一法人として許可が下りなかった場合に、一度廃業してしまったがために、2度と営業ができなくなってしまうということにもなりかねないからです。

どちらにせよ事前に管轄警察署には相談しておくことをお勧めします。

法人として、接待飲食店の風俗営業許可を取得する場合には下記の書類が必要です。

提出書類
  • 許可申請書 
    • その1
    • その2(A)1号〜3号営業(社交飲食店等)
  • 営業の方法
    • その1
    • その2(A)1号〜3号営業(社交飲食店等)
  • 使用承諾書
  • 用途地域証明書
  • 営業所周辺の見取図
  • 店舗の図面
    • 平面図
    • 求積図
    • 立面図
    • 照明・音響設備の配置図
  • 住民票(申請者用・管理者用)
    • 本籍地付きのもの
    • 申請者と管理者が同一人物の場合は1部でOK
  • 身分証明書(申請者用・管理者用)
    • 申請者と管理者が同一人物の場合は1部でOK
  • 営業許可通知書の写し(飲食店営業許可通知書)
  • 誓約書
    • 個人用
    • 管理者業務用
    • 管理者欠格用
  • 写真2葉(管理者分・3cm×2.4cm)
法人の場合は追加
  • 定款
  • 登記事項証明書
  • 住民票(本籍地記載のもの)
    • 法人登記簿謄本に記載の役員全員分~監査役含む
  • 身分証明書
    • 法人登記簿謄本に記載の役員全員分~監査役含む
  • 誓約書
    • 法人登記簿謄本に記載の役員全員分~監査役含む
ポイント:申請書類について詳細は下記の記事から

法人として新規する場合には、個人申請するよりも書類の数が増えます。
詳細は過去の記事で解説しておりますので、下記からご覧ください。

詳細はこちらをクリック

検討するのが賢明です。

3.まとめ

以上、接待飲食店における法人成りの注意点や流れについて解説しました。

ポイント:申請は慣れていないと時間がかかる申請です

風俗営業許可や深夜営業許可は正確な申請書類の記述はもちろんのこと、図面の作成が必要です。作成には時間がかかるのもちろんのこと、補正があれば何度も管轄警察署に足を運ばないといけません。

ただでさえ許可が下りるまで55日間かかる風営法許可、オープンを急いでいるのであれば正確な申請が必要です。

ポイント:開業の準備をしながら申請ができるでしょうか?

その間、
・お店の内装工事のお打ち合わせ
・ホームページやSNSでの集客の対応
・キャストの募集

など並行して行わなければなりません。そんなお時間が作れますか?

ポイント:風営法は厳しい法律です。

さらに風営法は厳しい法律です。無許可で営業を行なったり、不正手段で許可を取得した場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方が課されます。
一度違反行為をしてしまうと風営法の欠格事由に該当し5年間新規申請ができなくなってしまいます。

そんなお悩みを持つあなたの代わりに当事務所が全て申請を代行いたします。

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