洋酒卸売業免許を取得したい
洋酒卸売業免許を取得したい
Contents
1.洋酒卸売業免許とは
① 洋酒卸売業免許の概要
酒類を販売する際には、酒税法に基づき、各販売場ごとに、その販売場の所在地を管轄する税務署長から「酒類販売業免許」を取得する必要があります。
洋酒卸売業免許とは、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒の全て又はこれらの酒類の品目の1以上の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいいます。
具体的に洋酒の例を挙げるとすると、下記のようなものが当てはまります。
洋酒に該当する品目
- 果実酒
- 甘味果実酒
- ウイスキー
- ブランデー
- 発泡酒
- その他の醸造酒
- スピリッツ
- リキュール
- 粉末酒
- 雑酒
洋酒の具体例
- スコッチ
- バーボン
- 国産ウイスキー
- キュラソー
- ベルモット
- 梅酒
- ジン
- ウォッカ
- ラム
- テキーラ
- 赤酒
- ワイン
- スパークリングワイン
- シェリー
- ベルモットなど
ポイント:日本酒・焼酎・ビール・みりん以外のお酒
洋酒であれば、国産酒でも輸入酒でも販売することが可能です。
したがって国産ウイスキーなども洋酒に該当します。
洋酒は日本酒・焼酎・ビール・みりん以外のお酒であると考えるとわかりやすいです。
②酒類卸売業免許とは
ポイント:卸売業免許では小売販売ができない
酒類販売業免許は、販売先や販売方法、販売品目によってさまざまな種類に区分されます。その中でも、酒類販売事業者や酒類製造業者に対して酒類を販売することができる免許が「酒類卸売業免許」です。
つまり、酒類卸売業免許では、「国内」の一般消費者や飲食店への小売販売を行うことはできませんので、この点に注意が必要です。
酒類卸売業免許は下記の八つの種類に分類されています。
(イ) 全酒類卸売業免許
(ロ) ビール卸売業免許
(ハ) 洋酒卸売業免許
(ニ) 輸出入酒類卸売業免許
(ホ) 店頭販売酒類卸売業免許
(ヘ) 協同組合員間酒類卸売業免許
(ト) 自己商標酒類卸売業免許
(チ) 特殊酒類卸売業免許
「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」の違いについて詳しく知りたい方は、過去に記事で解説していますので、下記のページからご覧ください
③その他の特徴
ポイント:「洋酒」であれば海外でも販売可能
国産・外国産に関わらず、洋酒に分類される10品目のみを取り扱うことができる卸売業免許です。この免許で該当する品目の酒類を扱う場合、輸出入酒類卸売業免許がなくても、酒類の輸出入は可能です。
つまり、海外でも販売することができます。
ポイント:海外なら飲食店や一般消費者に販売可能
卸売業免許の場合には、飲食店や一般消費者相手に対して、販売することができないと先述しましたが、これは「国内」の飲食店や一般消費者相手に限ります。
つまり、海外に洋酒を輸出する場合には、個人やレストランに販売することが可能です。
ポイント:輸出入酒類卸売業免許との違い
「輸入酒類卸売業免許」と「洋酒卸売業免許」どちらも同じことを言っているのではないかと思いますよね。具体的に違いを見てみましょう。
輸入酒類卸売業免許と洋酒卸売免許の違い
- 輸入酒類卸売業免許
- 自己が直接輸入した酒類のみを取り扱うことができる免許で、取り扱う酒類の種類に特別な制限はありません。ただし、税務署の判断や提出した事業計画によって、取り扱う酒類の品目が限定されることが一般的です。
- 例)日本酒・ビール・焼酎・みりんなどの「洋酒」に該当しない酒類を輸入販売する場合
- 洋酒卸売業免許
- 果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒、および雑酒などの「洋酒」を卸売するための免許です。「洋酒」に該当する酒類であれば、国産・外国産を問わず卸売することが可能です。
- 例)ワインやウイスキーなどの洋酒を輸入卸売する場合。
どちらを取得すれば良いか迷った場合には、将来的に国産酒類を取り扱う可能性が高い場合には、「洋酒卸売業免許」を取得するほうが有利となることがあります。
ポイント:洋酒卸売業免許の取得には酒類の販売経験が必要
なお、「洋酒卸売業免許」の取得には、経営基礎要件(酒類の販売経験など)が厳格に判断される傾向があります。(後述します)特に、これまでに酒類の販売経験がない方が新規で洋酒卸売業免許を取得するのは難しいとされることが一般的です。
輸出入酒類卸売業免許についての詳細は下記からご覧いただけますので、ご確認ください。
2.免許取得要件
①他の販売業と同様の許可要件をクリアする必要がある
酒類販売業の免許取得要件
- 場所的要件
- 酒類販売を予定している場所が適切であること。
- 経営基礎要件
- 免許を取得して酒類販売を行う者(法人または個人)の資金、経営状態、経験が、酒類販売にふさわしいものであること。
- 人的要件
- 税金の滞納処分を受けたことがないこと。
- 各種法令違反や罰則を受けていないこと(もし受けていた場合、一定の期間が経過していること)。
- 需要調整要件
- 酒類の仕入れや販売を適正な方法で行えること。
- 販売価格や品質を適正に維持できること。
酒類販売業免許は誰でも取得できるわけではありません。
開始するためには上記の許可要件をクリアする必要があります。
これらの許可要件の詳細については過去の記事で解説していますので、下記からご覧ください
ポイント:登録免許税の納付が必要
酒類販売業免許の取得にあたっては、免許通知書の交付時に登録免許税を納付する必要があります。
洋酒卸売業免許の取得の場合、1件あたり90,000円の登録免許税がかかります。
②取引承諾書の作成が必要
ポイント:仕入れ先と卸売先の両方の取引承諾書が必要
取引承諾書は、仕入先と卸売先(販売先)のそれぞれから1社以上取得する必要があります。
- 仕入先
- 蔵元やブルワリー、ワイナリーなどの製造業者や、酒問屋、インポーターなどの卸業者が含まれます。
- 卸売先
- 酒屋やスーパー、コンビニ、デパートなどのお酒の販売業者が該当します。
酒類販売事業者間でのみ取引ができる「卸売業免許」では、一般消費者や飲食店は取引先として認められませんのでご注意ください。
ポイント:全ての取引先から取得する必要はない
取引承諾書は、仕入先・卸売先それぞれから1部ずつ取得すれば十分であり、すべての取引相手から取得する必要はありません。
取引承諾書には、以下の項目を記載する必要があります。
取引承諾書の記載項目
- 宛名
- 承諾内容
- 「酒類卸売業免許を取得した際には、酒類の取引を承諾する旨」
- 日付
- 住所
- 記名・押印
- 海外の場合はサイン
ポイント:海外での取引の場合は和訳が必要
海外の取引先から取引承諾書を取得する際には、英文で準備することもあります。全文が英語(またはその他の外国語)の取引承諾書の場合、税務署の審査担当者から和訳を求められることがありますので、あらかじめ英文に和訳を添えておくとスムーズです。
取引承諾書に定められた様式は特にありません。
申請者が自ら準備し、取引先から取得する必要があります。
③酒類販売の経験が必要
酒類卸売業免許申請の手引には、洋酒卸売業免許を取得する際の経営基礎要件に、3年以上の酒類販売の経験が必要な旨が記載されています。
ポイント:3年以上の酒類販売の経験が必要
3 酒税法 10 条 10 号関係の要件(経営基礎要件)
ト 経験その他から判断し、適正に酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること【洋酒卸売業免許、店頭販売酒類卸売業免許、協同組合員間酒類卸売業免許及び自己商標酒類卸売業免許に係る申請等の場合】
酒類卸売業免許申請の手引きより引用
1 酒類の製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く。)の業務に直接従事した期間が引き続き3年以上である者、調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者又はこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者。
2 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者。
※ なお、これらの従事経験や経営経験がない場合には、その他の業での経営経験に加え「酒類販売管理研修」の受講の有無等から、①酒類の特性に応じた商品管理上の知識及び経験、②酒税法上の記帳義務を含む各種義務を適正に履行する知識及び能力等、酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力が備わっているかどうかを実質的に審査することになります。
ポイント:酒類販売の経験がない場合には研修の受講で要件を満たせる場合がある
もし業務経験がない場合には、「酒類販売管理研修」の受講などで酒類販売の知識や能力を評価されることもあります。
要するに、酒類販売業免許は「酒類販売管理研修」を受講することによって、経営基礎要件を満たすことができる場合があるということです。
ポイント:酒類販売管理研修とは
酒類販売管理研修とは、研修実施団体が提供する酒類の販売業務に関する法令を学ぶ研修のことです。
この研修では、酒類販売管理者が20歳未満と思われる者への年齢確認の実施や、酒類の陳列場所での表示など、販売業務において遵守すべき法令に関する事項を学びます。
また、アルコール飲料としての酒類の特性や商品知識なども修得し、管理者としての資質向上を図ります。
これにより、販売場における酒類の適正な販売管理の確保と実効性を高めることが目的とされています。
酒類販売管理研修について具体的に知りたい方は過去の記事で解説していますので下記からご覧ください。
3.まとめ
以上、洋酒卸売業免許について解説しました。
当事務所は酒類販売免許の申請を専門に申請代行を行なっております。ぜひお気軽にお申し付けください。
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