自己商標酒類卸売業免許を取得したい

酒類販売業免許

自己商標酒類卸売業免許を取得したい

酒類販売業免許について解説

1.自己商標酒類卸売業免許とは

① 自己商標酒類卸売業免許の概要

酒類を販売する際には、酒税法に基づき、各販売場ごとに、その販売場の所在地を管轄する税務署長から「酒類販売業免許」を取得する必要があります。

自己商標酒類卸売業免許とは、自らが開発した商標又は銘柄の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいいます。
この免許で卸売できる酒類は、自らが開発した商標又は銘柄の酒類に限ります。

ポイント:オリジナルブランドのお酒を卸売りすることが可能になる免許

自己商標酒類卸売業免許は、2012年に新たに設けられた酒類販売業免許です。この免許は、自分が開発した商標や銘柄のお酒に限り、その酒類の卸売ができる免許を指します。

いわゆるオリジナルブランドのお酒を卸売りすることが可能になる免許です。

従来、オリジナル銘柄の日本酒や焼酎、ビールを卸売する場合、全種類卸売業う免許を取得する必要がありました。そうなってくると全種類卸売業免許の取得の難しさから断念せざるを得ない場合が非常に多くありました。

しかし、自己商標酒類卸売業免許を取得すれば、自身の商標に限り、どの品目でも卸売することができます。品目(清酒、ビール、果実酒、ウィスキー等)には制限がありません。

ポイント:自己証票に該当する例と該当しない例
自己商標に該当する例
  1. 飲食店がオリジナルメニューの名前をラベルに使用したお酒
    • 飲食店が自社で開発したオリジナルメニューの名前を使用してお酒を販売する場合。
  2. アーティストが自身のアート作品名やペンネームを使用したラベルのお酒
    • アーティストが自分で創作した作品名やペンネームをラベルに使用して販売するお酒。
  3. 農家が自家栽培したフルーツを用いて作ったリキュールに自分の農場のシンボルを使用
    • 農家が自家製のリキュールに自分の農場のシンボルやデザインをラベルとして使用する場合。
自己商標に該当しない例
  1. 既存の有名キャラクターのライセンスを取得して使用したお酒
    • 他社が開発したキャラクターのライセンスを取得し、そのキャラクターをラベルに使用したお酒。
  2. 流行している商品名やブランド名を他社から購入して使用したお酒
    • 流行している商標を他社から購入し、それを自社のお酒のラベルに使用する場合。
  3. 著名なレシピや銘柄を他社から借り受けてラベルに使用したお酒
    • 他社の著名なレシピや銘柄を借り受け、その名前を自社製品に使用する場合。

自己商標酒類卸売業免許の対象となるのは、あくまで自らが商標や銘柄を企画・開発した場合に限ります。
つまり、自分たちで企画・開発していない場合、それは「自己商標」とはみなされません。この点に注意しましょう。

②酒類卸売業免許とは
ポイント:卸売業免許では小売販売ができない

酒類販売業免許は、販売先や販売方法、販売品目によってさまざまな種類に区分されます。その中でも、酒類販売事業者や酒類製造業者に対して酒類を販売することができる免許が「酒類卸売業免許」です。

つまり、酒類卸売業免許では、「国内」の一般消費者や飲食店への小売販売を行うことはできませんので、この点に注意が必要です。

酒類卸売業免許は下記の八つの種類に分類されています。

(イ) 全酒類卸売業免許
(ロ) ビール卸売業免許
(ハ) 洋酒卸売業免許
(ニ) 輸出入酒類卸売業免許
(ホ) 店頭販売酒類卸売業免許
(ヘ) 協同組合員間酒類卸売業免許
(ト) 自己商標酒類卸売業免許
(チ) 特殊酒類卸売業免許

「酒類小売業免許」と「酒類卸売業免許」の違いについて詳しく知りたい方は、過去に記事で解説していますので、下記のページからご覧ください

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③その他の特徴
ポイント:新商品の開発をする場合、再度免許の申請は不要

また、自己商標酒類卸売業免許を一度取得すれば、その後は自己が企画・開発した商標や銘柄のお酒であれば、新たな申請なしに別の商品を卸売することが可能です。

ポイント:自らが開発した事実を証明できる書類が必要

「自己商標酒類卸売免許」を取得するためには、自らが開発したことを証明する書類が必要です。自己商標の登録をしている必要はありませんが、自らが開発した商標であることが確認できなければなりません。

ネーミングやデザインを外部に依頼した場合、その見積書や提案書などが証拠資料となります。また、お酒の製造を委託する場合には、酒造メーカーとのOEM契約書なども証明書類として必要です。

2.免許取得要件

①他の販売業と同様の許可要件をクリアする必要がある

酒類販売業の免許取得要件

  • 場所的要件
    • 酒類販売を予定している場所が適切であること。
  • 経営基礎要件
    • 免許を取得して酒類販売を行う者(法人または個人)の資金、経営状態、経験が、酒類販売にふさわしいものであること。
  • 人的要件
    • 税金の滞納処分を受けたことがないこと。
    • 各種法令違反や罰則を受けていないこと(もし受けていた場合、一定の期間が経過していること)。
  • 需要調整要件
    • 酒類の仕入れや販売を適正な方法で行えること。
    • 販売価格や品質を適正に維持できること。

酒類販売業免許は誰でも取得できるわけではありません。
開始するためには上記の許可要件をクリアする必要があります。

これらの許可要件の詳細については過去の記事で解説していますので、下記からご覧ください

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②取引承諾書の作成が必要
ポイント:仕入れ先と卸売先の両方の取引承諾書が必要

取引承諾書は、仕入先と卸売先(販売先)のそれぞれから1社以上取得する必要があります。

  • 仕入先
    • 蔵元やブルワリー、ワイナリーなどの製造業者や、酒問屋、インポーターなどの卸業者が含まれます。
  • 卸売先
    • 酒屋やスーパー、コンビニ、デパートなどのお酒の販売業者が該当します。

酒類販売事業者間でのみ取引ができる「卸売業免許」では、一般消費者や飲食店は取引先として認められませんのでご注意ください。

ポイント:全ての取引先から取得する必要はない

取引承諾書は、仕入先・卸売先それぞれから1部ずつ取得すれば十分であり、すべての取引相手から取得する必要はありません。

取引承諾書には、以下の項目を記載する必要があります。

取引承諾書の記載項目
  • 宛名
  • 承諾内容
    • 「酒類卸売業免許を取得した際には、酒類の取引を承諾する旨」
  • 日付
  • 住所
  • 記名・押印
    • 海外の場合はサイン
ポイント:自らが開発したことを証明する書類が必要

「自己商標酒類卸売免許」を取得するためには、自らが開発したことを証明する書類が必要です。自己商標の登録をしている必要はありませんが、自らが開発した商標であることが確認できなければなりません。

必要な書類の例は下記のとおりです。

自らが開発したことを証明する書類
  • 商標又は銘柄(商品ラベル)のコピー
  • 商標などの登録証のコピー
  • 酒類製造業者と交わしたお酒(酒類)の製造委託契約書のコピー
  • 商品(お酒)の企画書や稟議書

上記はあくまでも一例のため、もし「自己商標酒類卸売免許」を取得するのであれば、事前に必要書類を税務署に相談しておくことをお勧めします。

③酒類販売の経験が必要

酒類卸売業免許申請の手引には、洋酒卸売業免許を取得する際の経営基礎要件に、3年以上の酒類販売の経験が必要な旨が記載されています。

ポイント:3年以上の酒類販売の経験が必要

3 酒税法 10 条 10 号関係の要件(経営基礎要件)
ト 経験その他から判断し、適正に酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること

【洋酒卸売業免許、店頭販売酒類卸売業免許、協同組合員間酒類卸売業免許及び自己商標酒類卸売業免許に係る申請等の場合】
1 酒類の製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く。)の業務に直接従事した期間が引き続き3年以上である者、調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者又はこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者。
2 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者。
※ なお、これらの従事経験や経営経験がない場合には、その他の業での経営経験に加え「酒類販売管理研修」の受講の有無等から、①酒類の特性に応じた商品管理上の知識及び経験、②酒税法上の記帳義務を含む各種義務を適正に履行する知識及び能力等、酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力が備わっているかどうかを実質的に審査することになります。

酒類卸売業免許申請の手引きより引用
ポイント:酒類販売の経験がない場合には研修の受講で要件を満たせる場合がある

もし業務経験がない場合には、「酒類販売管理研修」の受講などで酒類販売の知識や能力を評価されることもあります。

要するに、酒類販売業免許は「酒類販売管理研修」を受講することによって、経営基礎要件を満たすことができる場合があるということです。

ポイント:酒類販売管理研修とは

酒類販売管理研修とは、研修実施団体が提供する酒類の販売業務に関する法令を学ぶ研修のことです。
この研修では、酒類販売管理者が20歳未満と思われる者への年齢確認の実施や、酒類の陳列場所での表示など、販売業務において遵守すべき法令に関する事項を学びます。

また、アルコール飲料としての酒類の特性や商品知識なども修得し、管理者としての資質向上を図ります。
これにより、販売場における酒類の適正な販売管理の確保と実効性を高めることが目的とされています。

酒類販売管理研修について具体的に知りたい方は過去の記事で解説していますので下記からご覧ください。

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②酒類販売の経験が必要

3.まとめ

以上、自己商標酒類卸売業免許について解説しました。

当事務所は酒類販売免許の申請を専門に申請代行を行なっております。ぜひお気軽にお申し付けください。

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