酒類小売業免許と卸売業免許の違い

酒類販売業免許

酒類小売業免許と卸売業免許の違い

酒類販売業免許について解説

1.酒類販売業免許とは

酒類を販売する場合、酒税法の規定に基づき、各販売場ごとにその所在地を管轄する所轄税務署長から酒類販売業免許を取得する必要があります。

この免許は、酒類の継続的な販売が許可されるもので、「酒類小売業免許」「酒類卸売業免許」の2種類に大別されます。

①酒類小売業免許とは

酒類小売業免許とは、消費者、飲食店営業者、菓子製造業者に対して、酒類を継続的に販売(小売)することが許可される免許です。また、この免許には酒税法第11条に基づき、酒税の保全および需給均衡の維持を目的として、「酒類の販売は小売に限る」との条件が付されています。

この酒類小売業免許は、販売方法、取り扱い品目、販売相手に応じて、さらに以下の3つの免許に分類されます。

【酒類小売業免許の種類】
  • 一般酒類小売業免許
    • 店頭(酒販店やコンビニなど)で酒類を販売する際に必要な免許です。有店舗・無店舗に関わらず、原則すべての酒類の小売が可能です。
  • 通信販売酒類小売業免許
    • インターネットやカタログを通じて酒類を販売する場合に必要な免許です
  • 特殊酒類小売業免許
    • 特殊酒類小売業免許とは、酒類の消費者等の特別の必要に応ずるため、酒類を小売することが認められる酒類小売業免許をいう。
ポイント:飲食店は酒類販売の免許は必要?

結論から言うと飲食店は酒類販売免許は必要ありません。
飲食店の営業は食品衛生法に基づいて行われるため、保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要があります。

酒類販売免許が必要なケースはどのように考えれば良いかというと、
「お酒の容器を開栓してから提供するか、開栓せずにそのまま販売するか」の違いがあります。

ポイント:判断基準はお酒の容器を開栓してから提供するか、開栓せずにそのまま販売するか

飲食店では、顧客に提供されるお酒は「メニューの一部」として扱われます。そのため、日本酒やワイン、ビール、サワーなどを開栓済みのボトルや樽から提供する場合には、飲食店営業許可の範囲で行われることになります。

一方、未開栓のボトルや樽をそのまま販売する場合は、「酒税法上の酒類の小売業」として扱われるため、別途「酒類販売業免許」が必要です。

つまり、同じ店舗であっても、お酒をメニューとして提供するのか、商品として小売りするのかによって、必要な免許が異なるのです。

②酒類卸売業免許とは

酒類卸売業免許とは、酒類販売業者や酒類製造者に対して、酒類を継続的に販売(卸売)することが許可される免許です。この免許には、酒税法第11条に基づいて酒税の保全や酒類の需給均衡を維持するため、「販売は卸売に限る」という条件が付されています。

さらに、販売できる品目や販売方法によって、以下の8種類の免許に分類されます。

(イ) 全酒類卸売業免許
 全酒類卸売業免許とは、原則として、全ての品目の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(ロ) ビール卸売業免許
 ビール卸売業免許とは、ビールを卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(ハ) 洋酒卸売業免許
 洋酒卸売業免許とは、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒の全て又はこれらの酒類の品目の1以上の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(ニ) 輸出入酒類卸売業免許
 輸出入酒類卸売業免許とは、輸出される酒類、輸入される酒類又は輸出される酒類及び輸入される酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(ホ) 店頭販売酒類卸売業免許
 店頭販売酒類卸売業免許とは、自己の会員である酒類販売業者(住所及び氏名又は名称並びに酒類販売業者であることを免許通知書等により確認した上で、会員として登録し管理しているものに限る。)に対し店頭において酒類を直接引き渡し、当該酒類を会員が持ち帰る方法により卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(ヘ) 協同組合員間酒類卸売業免許
 協同組合員間酒類卸売業免許とは、自己が加入する事業協同組合(中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)に基づき設立された事業協同組合をいう。)の組合員である酒類小売業者に酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(ト) 自己商標酒類卸売業免許
 自己商標酒類卸売業免許とは、自らが開発した商標又は銘柄の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいう。

(チ) 特殊酒類卸売業免許
 特殊酒類卸売業免許とは、酒類事業者の特別の必要に応ずるため、酒類を卸売することが認められる次の酒類卸売業免許をいう。
 A 製造者の本支店、出張所等に対する酒類卸売業免許
 B 製造者の企業合同に伴う酒類卸売業免許
 C 製造者の共同販売機関に対する酒類卸売業免許

ポイント:料理店への販売は小売業?それとも卸売業?

料飲店へのお酒の販売を「業務(用)卸」と呼ぶことが多いため、「酒類卸売業免許」が必要だと考えている方もいるかもしれません。
しかし、実際に料飲店へのお酒の販売に必要なのは「酒類小売業免許」です。

酒類小売業免許とは、消費者へのお酒の小売販売が認められる免許で、この「消費者」には、お酒の最終消費者、つまり購入したお酒を開栓して消費する人が含まれます。

料飲店は、開栓したお酒やグラスに注いだ状態で提供するため、最終消費者に該当します。

ポイント:料理店へのお酒の販売は酒類小売業免許が必要

そのため、料飲店へのお酒の販売には「酒類小売業免許」が必要です。

なお、「酒類小売業免許」は、消費者や料飲店などへの酒類の小売販売のみを認めるものであり、酒類販売業者への販売(卸売)は認められていないため、注意が必要です。

2.まとめ

以上、酒類販売業免許のうち、小売業と卸売業の違いについて解説いたしました。当事務所は酒類販売免許の申請を専門に申請代行を行なっております。ぜひお気軽にお申し付けください。

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