特定遊興飲食店営業許可取得の流れ
特定遊興飲食店営業許可取得の流れ
Contents
1.特定遊興飲食店とは
①特定遊興飲食店の定義
特定遊興飲食店営業は、次のとおり定義されています。
ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食をさせる営業( 客に酒類を提供して営むものに限る。)で、午前6時後翌日の午前0時前の時間 においてのみ営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く。)
これはつまり下記のような条件全て満たす場合には、特定遊興飲食店営業許可が必要ということです。
②特定遊興飲食店は営業許可が必要です。
下記全て満たす場合は特定遊興飲食店営業許可が必要
① 深夜に営業するかどうか
② 酒類を提供するかどうか
③ 客に遊興をさせるかどうか
上記3点全て該当する場合には、特定遊興飲食店の営業許可が必要となります。
営業者側が積極的に客を遊ばせたり楽しませる行為は「遊興」に該当する可能性が高く、逆に客が自主的に楽しむ場合は遊興には該当しません。
2.特定遊興飲食店許可取得の流れ
①管理者の選任
ポイント:管理者を選任する
風俗営業や特定遊興飲食店営業を行うには、「管理者」を選任する必要があります。管理者は店舗の現場業務を管理する店長のような存在です。
管理者選任の条件
- 資格は不要。後述する人的欠格事由がない
- 店舗ごとに1人の管理者が必要で、原則として複数の店舗を1人の管理者が兼任することはできない
- 同一ビル内の店舗などでは例外的に認められることもあります。
- 営業者自身が常駐して管理する場合、営業者自身を管理者とすることも可能。
管理者の主な業務
- 従業者への法令遵守の指導や計画の作成・実施
- 設備の点検・管理
- 迷惑防止措置
- 苦情処理
- 未成年客への対応
- 従業者名簿の管理
管理者講習を受ける義務
管理者は必要に応じて公安委員会からの通知を受け、講習を受ける必要があります。
- 定期講習
- 管理者選任年度に1回、以後おおむね3年ごとに実施(4~6時間)
- 処分時講習
- 違反行為により営業停止を命じられた場合、1年以内に実施(4~6時間)
- 臨時講習
- 法改正など特別な事情がある場合に実施(2~4時間)
②許可要件の確認
ポイント:許可要件を満たすか確認
特定遊興飲食店の営業許可を取得するためにはまずは許可要件を満たすか確認が必要です。具体的には下記の三つの要件がクリアできるか自身で確認しましょう。
3つの許可要件を満たす必要がある
- 人的要件
- 場所的要件
- 構造的要件
要件1:人的要件
ポイント:営業者や管理者が欠格要件に該当してはいけない
特定遊興飲食店の営業者及び管理者に対しては、風俗営業同様の人的要件(欠格事由)が定められており、下記の内容に該当する場合には許可を受けることができません。
欠格要件
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
- 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
- 法人の役員、法定代理人が上記1から6までのいずれかに該当する者があるとき
要件2:場所的要件
特定遊興飲食店の営業には、風営法により営業が制限されている地域が存在します。以下の地域でのみ営業が可能になります。
営業可能エリア
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
住居集合地域では営業を行うことができません。
具体的には「第一種低層住居専用地域」・「第二種低層住居専用地域」・「第一種中高層住居専用地域」・「第二種中高層住居専用地域」・「第一種住居地域」・「第二種住居地域」・「準住居地域」が営業禁止エリアとなります。
ポイント:保護対象施設から一定の距離が必要
特定遊興飲食店の営業許可を受けるには、風俗営業許可と同様に、営業所が特定の「保護対象施設」から一定の距離を置く必要があります。
保護対象施設には、学校(大学除く)、児童福祉施設、病院、図書館、診療所などが含まれます。
各施設からの最低距離は、商業地域では30~70メートル以上、商業地域以外では50~100メートル以上と定められています。この距離は、施設の敷地から測定され、違反すると営業許可が下りません。
要件3:構造的要件
深夜営業を行う際には、風営法の規定が準用されるため、客席の配置や構造に注意が必要です。
ポイント:他の席から見通せない造りはNG
例えば、仕切りや衝立で他の席から見通せないような造りの場合、深夜営業の基準を満たしていないため、警察は届出を受理することができません。
また、図面上で風営法に違反がないように見せて届出をしたとしても、後日その違反が発覚した場合には指導の対象となるので、十分な注意が必要です。
構造及び設備の基準
- 客室の床面積は、1室33㎡以上
- 客室の内部に見通しを妨げる設備(高さ1m以上の仕切り、つい立て、カーテン、背の高いイス等)を設けないこと
- 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物装飾等の設備を設けないこと
- 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口についてはこの限りではない。
- 営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること(調光器等で10ルクス以下になるものも原則NG)
- 営業に係る騒音又は振動の数値が条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること
③必要書類の準備
ポイント:管轄警察署に事前相談することをお勧めします
申請に必要な書類は下記のとおりです。
各都道府県や自治体によって必要書類が変わる可能性がありますので、まずは事前に管轄の警察署へ事前相談するのが良いでしょう。
必要書類
- 許可申請書(特定遊興飲食店営業)(様式第40号)
- 営業の方法(特定遊興飲食店営業)(様式第41号)
- 営業所の使用について権限を有することを疎明する書類
- 使用承諾書
- 賃貸借契約書
- 建物に係る登記事項証明書
- 営業所の平面図及び営業所の周囲の略図
- 住民票(本籍地記載のもの。外国人にあっては国籍記載のもの)の写し
- 申請者
- 人的欠格事由に該当しないことの誓約書
- 市区町村の発行する身分証明書
- 申請者
- 選任する「管理者」に係る前記5から8までの書面
- 「管理者」の顔写真2枚
- 飲食店営業許可証の写し
- 営業所の図面
- 求積図
- 客室の求積図 (計算過程も記載)
- 営業所の求積表(計算過程も記載)
- 照明・音響設備の配置図
- イス・テーブル等の略図(高さなど記載)
※法人の場合は下記追加書類
- 法人の場合定款の写し(代表者の認証が必要)
- 法人登記事項証明書
- 役員全員分の前記⑤から⑧までの書面
④管轄警察署に申請する
3つの要件を満たし、必要書類が揃ったら、管轄の警察署へ許可申請を行います。多くの警察署では申請が予約制となっているため、事前に確認しておきましょう。
⑤実査(実地調査)
風俗営業許可の「実査」とは、申請内容と店舗が一致しているか確認するため、申請後に警察が店舗を訪問する重要な検査です。
ポイント:店舗が営業できる状態でないとできない
検査は申請から2~4週間後に行われ、店舗が営業できる状態でなければなりません。飲食店営業許可とは異なり、工事道具が残っていたり未完成の状態では許可が下りません。
実査内容
- 店舗が申請した図面通りになっているか
- 店舗の寸法が図面通りか
- 音響・照明の種類が申請した図面どおりか
- イスやテーブルの配置・寸法が図面どおりか
- 客室の見通しがあるか(1m以上の家具などがないか)
- 店舗外から内側が見えないか
- 照明スイッチが調光式でないか
- 店舗入口に「18歳未満立ち入り禁止」の掲示されているか
- 店内に「20歳未満のお客様への酒類提供はいたしません」の掲示されているか
- 店内の見やすい場所に料金表が掲示されているか
- 防音対策が講じられているか
- 従業員名簿が用意されているかどうか
など
上記はあくまで、例となりますのでご注意ください。
詳細は別の記事で解説していますので下記からご覧下さい
⑥許可証の交付
ポイント:申請後およそ2ヶ月で許可がおりる
不備がなければ、申請からおよそ2ヶ月(標準処理期間は55日、官公庁の休業日を除く)で許可が下ります。実査が終了してからしばらく審査期間を経て、最終的に許可証が交付される流れです。
3.まとめ
以上、特定遊興飲食店の許可取得までの流れについて解説しました。
ポイント:申請は慣れていないと時間がかかる申請です
風俗営業許可や深夜営業許可は正確な申請書類の記述はもちろんのこと、図面の作成が必要です。作成には時間がかかるのもちろんのこと、補正があれば何度も管轄警察署に足を運ばないといけません。
ただでさえ許可が下りるまで55日間かかる風営法許可、オープンを急いでいるのであれば正確な申請が必要です。
ポイント:開業の準備をしながら申請ができるでしょうか?
その間、
・お店の内装工事のお打ち合わせ
・ホームページやSNSでの集客の対応
・キャストの募集
など並行して行わなければなりません。そんなお時間が作れますか?
ポイント:風営法は厳しい法律です。
さらに風営法は厳しい法律です。無許可で営業を行なったり、不正手段で許可を取得した場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方が課されます。
一度違反行為をしてしまうと風営法の欠格事由に該当し5年間新規申請ができなくなってしまいます。
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