風俗営業の管理者とは?注意点などを解説
風俗営業の管理者とは?注意点など解説
1.管理者とは
①管理者の定義
風俗営業を行うには、各営業所ごとに、その営業所の業務全体を統括・管理する責任者として必ず「管理者」を1名選任する必要があります。
管理者については風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律にも定義されており、内容は下記のとおりです。
営業の管理者
第二十四条
風俗営業者は、営業所ごとに、当該営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、第三項に規定する業務を行う者として、管理者一人を選任しなければならない。ただし、管理者として選任した者が欠けるに至つたときは、その日から十四日間は、管理者を選任しておかなくてもよい。2 次の各号のいずれかに該当する者は、管理者となることができない。
一 未成年者
二 第四条第一項第一号から第四号まで又は第六号から第九号までのいずれかに該当する者
三 心身の故障により管理者の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの3 管理者は、当該営業所における業務の実施に関し、風俗営業者又はその代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)に対し、これらの者が法令の規定を遵守してその業務を実施するため必要な助言又は指導を行い、その他当該営業所における業務の適正な実施を確保するため必要な業務で国家公安委員会規則で定めるものを行うものとする。
4 風俗営業者又はその代理人は、管理者が前項に規定する業務として行う助言を尊重しなければならず、風俗営業者の使用人その他の従業者は、管理者がその業務として行う指導に従わなければならない。
5 公安委員会は、管理者が第二項第二号若しくは第三号に該当すると認めたとき、又はその者がその職務に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、その情状により管理者として不適当であると認めたときは、風俗営業者に対し、当該管理者の解任を勧告することができる。
6 公安委員会は、第三項に規定する管理者の業務を適正に実施させるため必要があると認めるときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、管理者に対する講習を行うことができる。
7 風俗営業者は、公安委員会からその選任に係る管理者について前項の講習を行う旨の通知を受けたときは、当該管理者に講習を受けさせなければならない。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(e-GOV法令検索より引用)
管理者の役割は、風俗営業者や従業員が法令を遵守しながら業務を遂行できるよう、必要な助言や指導を行うことです。風俗営業者は管理者の助言を尊重する義務があり、従業員は管理者の指導に従う責任を負っています。
ポイント:管理者は店長のようなイメージ
簡単にいうと、店長のようにお店のことや、業務について管理をする人というイメージで良いです。
具体的にいうと下記のような内容です。
管理者の主な業務
- 従業者への法令遵守の指導や計画の作成・実施
- 設備の点検・管理
- 迷惑防止措置
- 苦情処理
- 未成年客への対応
- 従業者名簿の管理
2.管理者選任の注意点
①欠格要件に該当してはいけない
ポイント:管理者は欠格要件に該当してはいけない
社交飲食店の営業者及び管理者に対しては、風俗営業同様の人的要件(欠格事由)が定められており、下記の内容に該当する場合には管理者になることができません。
欠格要件
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 1年以上の懲役若しくは禁錮の刑に処せられ、又は一定の罪を犯して1年未満の懲役若しくは罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為等を行うおそれのある者
- アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者
- 心身の故障により風俗営業の業務を適正に実施することができない者
- 風俗営業の許可を取り消されて5年を経過しない者
- 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
- 法人の役員、法定代理人が上記1から6までのいずれかに該当する者があるとき
②必ず常勤の管理者を一人選任する
ポイント:他店舗との兼任は原則不可
管理者は、対象店舗に「常勤」し、「営業所ごとに専任」の者であることが求められます。他店舗との兼任は原則として認められません。
つまり各営業所ごとに管理者を選任する必要があります。
また、「常勤」とは、通勤可能な範囲に居住していることが前提となります。たとえば、福岡県中洲にある店舗の管理者として登録する場合、現住所が大阪府や佐賀県といった遠方では認められません。
ポイント:経営者や申請者が兼任するのはOK
経営者自身が毎日店舗に出勤している場合、自らを管理者として届け出ることも可能です。
しかし、先述の通り、複数店舗を経営している場合には、1店舗しか管理者として登録できないため、他の店舗には別の管理者を選任する必要があります。
③管理者が変更になった場合には届出する
管理者が変更となった場合(例: 退職に伴う交代や病気による休職など)、変更後10日以内に所定の「変更届出書」を提出する必要があります。
同時に、旧管理者の「管理者証」を返納し、新たな管理者に関する必要書類を提出することが求められます。
福岡県の場合は下記から変更届出書をダウンロードできます。
管理者変更に必要な書類
- 変更届出書(様式第11号)※福岡県警察HPより引用
- 新管理者の住民票(本籍地記載入り)
- 新管理者の身分証明書
- 誓約書(管理者欠格用)※福岡県警察HPより引用
- 誓約書(管理者業務用)※福岡県警察HPより引用
- 新任管理者の 写真(タテ3cm×ヨコ2.4cm)2葉
- 退任する管理者の管理者証
上記の書類を持って、管轄警察署に届出することで、新しい管理者証が交付されます。
④管理者講習を受講する
管理者講習の種類
管理者は必要に応じて公安委員会からの通知を受け、講習を受ける必要があります。
- 定期講習
- 管理者選任年度に1回、以後おおむね3年ごとに実施(4~6時間)
- 処分時講習
- 違反行為により営業停止を命じられた場合、1年以内に実施(4~6時間)
- 臨時講習
- 法改正など特別な事情がある場合に実施(2~4時間)
主に気にしないといけないのは定期講習です。
定期講習について詳細を下記にまとめておきます。
ポイント:定期講習はいつ開催されるのか?
管理者として選任された日から概ね3年ごとに1回受けることになっています。
受講対象者には講習の開催を通知するハガキが営業所(営業者)に届くことになっています。
ポイント:定期講習はどこで開催されるのか?
福岡県内の各地区の会場で毎月開催されています。
通知のハガキに開催日時や開催会場、持参する物が記載されているので、確認の上、参加するようにしましょう。
ポイント:定期講習を受けないとどうなるのか
講習の通知を受けた営業者には、管理者に講習を受講させる義務が生じます。
受講させなかった場合は、管理者講習受講義務違反となり、公安委員会から風
営適正化法上の不利益処分を受けることがありますので注意しましょう。
3.まとめ
以上、風俗営業における管理者について解説しました。
ポイント:申請は慣れていないと時間がかかる申請です
風俗営業許可や深夜営業許可は正確な申請書類の記述はもちろんのこと、図面の作成が必要です。作成には時間がかかるのもちろんのこと、補正があれば何度も管轄警察署に足を運ばないといけません。
ただでさえ許可が下りるまで55日間かかる風営法許可、オープンを急いでいるのであれば正確な申請が必要です。
ポイント:開業の準備をしながら申請ができるでしょうか?
その間、
・お店の内装工事のお打ち合わせ
・ホームページやSNSでの集客の対応
・キャストの募集
など並行して行わなければなりません。そんなお時間が作れますか?
ポイント:風営法は厳しい法律です。
さらに風営法は厳しい法律です。無許可で営業を行なったり、不正手段で許可を取得した場合には2年以下の懲役または200万円以下の罰金もしくはその両方が課されます。
一度違反行為をしてしまうと風営法の欠格事由に該当し5年間新規申請ができなくなってしまいます。
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